飯能市大蔵鉱山のマンガン鉱物②
どーも、東雲鉱物科学研究所です。
台風が近づく中、2回目の大蔵鉱山にマンガン鉱物を採集してきました。
(2022年9月23日)
大蔵鉱山へは、正丸駅で降りて、伊豆ヶ岳の中腹まで登ります。
詳しい行き方は、前回に行った際の記事にまとめてあるので、そちらを参照下さい。
今回は、前回よりも広い範囲を歩いて、採集しました。
台風の影響があるので、1時間程しか時間がありませんでしたが、良いマンガン鉱物の標本を採集できました。
沢の写真です。
前回は気づかなかったのですが、沢の両端には、昔の坑道がいくつかありました。
どうやら、沢の両端でマンガン鉱物を採掘し、要らない鉱物は沢に捨てていたようです。
肝心の採集したマンガン鉱物を紹介します。
先ずはこちらから。カリオピライトです。
お次はこちらです。カリオピライトとハウスマン鉱です。
右側がカリオピライトで、左側のチョコレート色をしている部分が、ハウスマン鉱です。
採集した際は、ハウスマン鉱の存在に気付けず、家で洗ったときに、気付きました。
ハウスマン鉱は、高品位のマンガン鉱にしか現れないため、この標本は見た目によらず、ズッシリと重いです。
1時間程で、2個だけでしたが、まだ手付かずでマンガン鉱物が残っていると思います。
ちなみに、沢の入り口にあるズリですが、あそこは何も採集できません。
今回も見てみましたが、赤鉄鉱くらいしかありませんでした。
今回は、採集する時間があまりありませんでしまが、高品質のマンガン鉱物を採集でき、かなり満足のいく、採集でした。
帰りは、小雨が降ってきて、急いで下山しました。
10月の連休は晴れると良いなと思います。
あんまりマンガン鉱物がない印象でしたが、今回は、良い標本が採集できたので、よしとしましょう。
大蔵鉱山に登る際は、気をつけて行ってきて下さい。
3回目も登ろうかなと思っています。
ではではー。
秩父鉱山 石灰沢の青いスピネル
どーも、東雲鉱物科学研究所です。
山の日である、2022年8月11日に、秩父鉱山に採集に行ってきました。
まずは、出合で採集したのですが、何もなかったため、諦め、大黒鉱床に向かいました。
そこも、何もありませんでした。
そのため、当初の目的地である石灰沢に、向かうことになりました。
初めての石灰沢だったので、道が合っているのか心配になりながら、山道を進んで行きました。
無事に到着することができ、色々な標本を採集できました。
石灰沢の様子です。
沢のすぐのところにあった柘榴石です。
かなり、綺麗で、お気に入りの標本です。
上の2枚は、石灰岩中のベスブ石です。
小さい塊の方が、大きなベスブ石の結晶を観察できました。
これも、柘榴石です。
大黒で、唯一採集できたオキシプランボローメ石です。
こういった大きな標本は、段々と少なくなってきた印象があります。
こちらに青いスピネルが入っていました。
下の写真がアップで、撮影したものです。
中央に、青い結晶が観察できます。
最初は気づかなかったんですが、ルーペで観察している時に、気付きました。
本当に採れるとは思わず、感動しました。
今年で閉山してしまう秩父鉱山。
学生時代から、お世話になってきたので、何か寂しさを感じます。
最後に稼働している姿を見れて良かったです。
また9月に連休があるため、もう一度石灰沢に登ろうと思っています。
青いスピネルも、ビギナーズラックで採集出来たので、かなり満足のいく採集でした。
これから、行かれる方も、気をつけて、登ってきて下さいね。
ではではー。
※当ブログの閲覧者が遂に、1万人を超えました。いつも、見て頂けて、とても嬉しいです。
当初は、記録用に始めたもので、1ヶ月に2〜3人来れば良いかなと思っていました。
段々と訪問者数が増えてきて、私本人も驚いています。
これからも、様々な鉱山の採集記録をつけて行きたいと思っております。
暇な時でも、当ブログに来て頂けたら、幸いです。
皆様、ありがとうございます。
飯能市大蔵鉱山のマンガン鉱物①
どーも、東雲鉱物科学研究所です。
3連休の2日目(2022年7月17日)に、飯能市の大蔵鉱山に鉱物採集に行ってきました。
大蔵鉱山は、伊豆ヶ岳の中腹の沢にあり、基本的には、伊豆ヶ岳を登っていくことになります。
中々に、ローカルな駅でした。
改札を出て、右側に階段があるので、そこを降りていきます。
途中に、トンネルがあるので、そこをくぐり抜けます。
舗装された道を、登山口まで歩いていきます。
大体、30〜40分位で到着します。
登山口までの道の横には、川が流れています。
途中で見えてくる看板です。これが見えたら、登山口まで、後少しです。
ここが、登山口です。
大蔵山方面に、左折します。
このまま、1時間ほど、山道をひたすら歩いて行きます。
山道の途中に、橋があり、こんな看板があります。
この橋を渡ったら、ズリのある沢までは、後少しです。
山道を歩いていくと、こんな感じの盛り土みたいなマンガンのズリが見えてきます。
これが、見えたら、右側の沢に向かって入っていきます。
水が流れているので、気をつけて、進みましょう。
ズリのあった場所から、2〜3メートル、沢を登っていくと、旧坑道が2つ見えてきます。
かなり大きな坑道で、びっくりしました。
入り口に柵があって、塞がれていたみたいですが、台風などの自然現象で、内側に倒れてしまったようです。
ただ、絶対に入らないで、眺めるだけにして下さい。
万が一事故を起こしても、携帯電話は圏外なので、助けを呼べないし、来ない可能性の方が高いです。
ここからは、採集した鉱物についてみていきたいんですが、ここは炭マンばかりで、ほとんど鉱物という鉱物はありませんでした。
ただ、一つだけ綺麗な赤鉄鉱を採集できました。
それがこちら。
家に帰ってから、端っこに塩酸をかけたら、発泡したので、間違いなく赤鉄鉱です。
赤鉄鉱は、いくつか手に入ったので、1番綺麗な標本を持って帰りました。
その他にも、一つだけ何らかのマンガン鉱物を採集しました。
多分、カリオピライトなのではと思いますが、鑑定に出して、鉱物名がきちんと分かったら、アップしようと思っています。
大蔵鉱山は、駅からも近く、電車で都心から、1時間半で到着するので、アクセスはバツグンです。
一応、ハウスマン鉱や、バラ輝石、菱マンガン鉱、緑マンガン鉱なども採集できるみたいです。
一回くらいは、行く価値はあるかなと思います。
おすすめな鉱山です。
ではではー。
※秩父鉱山の坑道に入り、酸欠でお亡くなりになられた方の事故が、ニュースで報道されました。大蔵鉱山にも、坑道があり、入れるようにはなっていますが、事故に遭う確率が高いので、入ることは、絶対にやめてください。また、同じ趣味を持ち、同じ志を持っていた同士のご冥福をお祈りします。
渋沢鉱山の金紅石と黄鉄鉱
どーも、東雲鉱物科学研究所です。
2022年5月28日に、神奈川県秦野市にある渋沢鉱山に、鉱物採集に行ってきました。
都内からなら、1時間半もあれば到着します。
渋沢駅からバスで、10分の場所にある「峠」で降ります。
バス停から、「南」に向かって歩きます(バスは広場で折り返しますが、バス停の先の道を歩いていきます。
道なりに行くと、突き当たりに当たります。
そこを右側に曲がります。
(ここは真っ直ぐではなく、右に曲がる)
右側に曲がるとすぐに、また分かれ道に当たりますが、今度は左側に曲がります。
(真っ直ぐ伸びている道を歩いていく)
この道を歩いていくと、大きな岩を置いてある場所が現れます。
その道を少し歩いていくと、林道の入り口に到着します。
この道をずっと歩いていきます。
林道に架かる橋があったらしいですが、今はもうないです。
なので、石を跳んで、対岸に渡ります。
そこからは、川沿いに、かなり細い林道を渡っていきます。
道は終始、ぬかるんでいるため、長靴で行くことを強く、おすすめします。
細い道を抜けたところで、河原に降りられる道があります。
そこが、産地です。
渋沢鉱山は、石膏の採掘をしていました。
今でも、坑道が残っています。
こちらも、坑道が2つありました。
右端に写っているのは、教育委員会が設置した鉱山の沿革を書いた看板です。(錆び付いていて、読めませんでした)
こちらが黄鉄鉱の露頭になります。
この岩の中に、小さな黄鉄鉱の粒が観察できます。
河原には、先人たちが割っていった鉱石が、沢山あります。
なので、あまりハンマーの出番は、ありませんでした。
河原の写真。
露頭をアップで撮影したものです。
こちらからは、採集した標本の紹介になります。
まずは、黄鉄鉱。
小さいものが多いですが、大きな結晶を採集できました。
次は、金紅石。
石英中に赤みがかった結晶で、産出します。
大きな塊で、河原に一つだけ、ありました。
お次は、小さな金紅石の標本。
中央の赤い部分が、金紅石になります。
大きな塊は少ないですが、石英の塊を丹念に見てみると、見つけられます。
小さいですが、お気に入りの標本です。
帰りは、14時のバスに乗り、帰りました。
夏は、虫除けスプレーと、後は長靴があると便利な産地です。
河原には、小さな黄鉄鉱の入った標本が、取りきれないくらいにあります。
実際、あんまり、ハンマーはいらない感じがしました。
露頭の上部には、旧坑道が残っています。
入り口は、塞がれていないため、入ることはできますが、万が一の場合があるため、入るのはやめた方がが良いです。
都心からのアクセスも抜群で、綺麗な黄鉄鉱を採集できるので、おすすめの産地です。
ただ、生い茂った林の中を歩くため、事前の準備は、必要になります。
今回の採集は、大きな黄鉄鉱の標本と、金紅石を採集できたので、満足のいく採集でした。
皆さんも、行く場合は、気をつけて行ってくださいねー。
ではではー。
秩父鉱山出合産の緑簾石
どーも、東雲鉱物科学研究所です。
2022年の5月3日に、秩父鉱山に鉱物採集に行ってきました。
ゴールデンウィークということもあり、かなりの人たちが、出かけていました。
翌日に特急券を購入しておけば、良かったのですが、当日でも大丈夫だろうと、たかを括っていたら、見事に売り切れでした。
そのため、三峰口駅からの9時のバスには乗れず、12時半のバスに乗り、秩父鉱山を目指しました。
当初は、石灰沢でベスブ石やホルツタム石を採集するつもりだったのですが、時間がなく、仕方なく出合での採集になりました。
一部区間が通行止めみたいです。
かなり綺麗な標本を採集出来ました。
ここからは、採集した標本の紹介です。
クリーム色のベスブ石です。
右端に、結晶面が観察できます。
出合から、撤退する直前に採集しました。
こちらも、ベスブ石です。
これは、柘榴石と緑簾石です。
何個か割れていたものがありましたが、綺麗なものを採集してきました。
この3枚の写真は、全部同じ鉱石塊から、割り出した標本です。
透き通った緑簾石の結晶が観察できます。
特に3枚目の標本が、私のお気に入りです。
今まで、10年以上、鉱物採集をしてきましたが、ここまで美しい緑簾石の結晶を採集したことはありません。
非常に、感動しましたし、こういった標本を採集することで、鉱物採集がやめられない気持ちになります。
結晶性石灰岩とホルンフェルスが、混じった様な鉱石塊を見つけたら、是非、くまなく観察してみて下さい。
かなりの確率で、結晶性石灰岩とホルンフェルスの間に、スカルン鉱物が入っています。
出合には、こういった状態の鉱石塊が、大小様々な大きさで、転がっています。
しかも、綺麗な標本が多いです。
最後の写真は、川を撮影したものです。
いつ見ても、秩父鉱山の川は綺麗です。
ゴールデンウィークの後半に差し掛かってきましたが、これから登る方は、気をつけて行ってきてくださいね。
ではではー。
日の出町坂本の藍閃石とローソン石
どーも、東雲鉱物科学研究所です。
2022年3月20日に東京都日の出町、坂本に藍閃石とローソン石を採集に行ってきました。
無事に目的の鉱物は採集できました。
今年、初めての鉱物採集だったので、幸先の良いスタートが切れました。
詳しい行き方は、去年行った際の記事に記載していますので、参考にしていただけると嬉しいです。
蛇紋岩の路頭を目指しながら、歩いて行きます。
そこから左手側の雑木林に向かって歩いて行きます。
小さな沢に当たるので、そこが産地になります。
藍閃石は、かなり沢山あります。
藍閃石の中に脈状に白色のローソン石が、入っています。
不純物によって、色が着いているローソン石もありますが、1番は紫色のローソン石でしょう。
私も探しましたが、結局、見つかりませんでした。
ここからは、採集した標本の紹介です。
まずはこちらから。
右側の青黒い部分が藍閃石です。
斜め上に脈状に入っているのが、ローソン石です。
こんな感じの標本が多くを占めます。
ローソン石の脈は細いものが多いですが、太く入っているものもあります。
藍閃石中のローソン石です。
誰かが割っていった破片を採集しました。
こちらも上の標本と同じ破片です。
周りの黒い部分は、藍閃石です。
塊状でも、ローソン石は産出します。
綺麗だったので、2つ採集しました。
以上が、採集した鉱物の紹介でした。
産地の近くには、地元の人が暮らしているので、くれぐれも迷惑をかけることだけはしないで、採集に行って下さい。
これから、段々と暖かくなるので、色々と採集に出かけて行きたいなと思っています。
ではではー。
日の出町坂本産単斜輝石岩
どーも、東雲鉱物科学研究所です。
今回は、2021年12月11日に、東京都の日の出町、坂本地域の大久野に鉱物採集に行ってきました。
Googleマップだと、こんな感じです。
川沿いの道を歩いて、行きます。
警察署を過ぎて、さかな園に行くまでの間に、川に降りられる道があります。
そこで、採集をしました。
採集した場所を、上流を背中にして、撮影しました。
写真の通り、日があまり当たらない場所で、ジメジメしていました。
日の出町坂本は、名栗断層帯内部に位置し、同地域の蛇紋岩中には、単斜輝石岩の小岩塊が発見されています。
そのため、黒瀬川帯の要素である可能性を指摘されています。
黒瀬川帯の地質体は,クリッペ(地質作用により、古い地層が山の上に残されているということ)であると解釈されています。
黒瀬川帯に産する蛇紋岩は、元々はかんらん岩だったと言われています。
採集した河原は、様々な火成岩や、石英、様々な色彩のチャートが、多く見られました。
正直、これといった鉱物は、採集できませんでした。
ただ、チャートには、赤系統や、緑系統のものがあり、綺麗でした。
特に、緑系統のものは、非常に美しかったです。
単斜輝石岩とは、いわゆる輝岩と言われる岩石のことです。
パイロキシナイトと呼ばれ、全体の90%以上が輝石で構成されています。少量、かんらん石を含む場合もあります。
坂本地域で採集される標本は、大部分が単斜輝石で構成されているため、単斜輝石岩と呼ばれています。
かんらん岩も、輝石及び、輝岩も密度が高く、比重も重いため、地球深部のマントルを構成する岩石、鉱物です。
特殊な地質作用により、地上に現れますが、世界的に見ても、稀な現象です。
日本では、北海道のアポイ岳が、かんらん岩の産地で有名で、構造地質学の研究対象になっています。
前置きが長くなりましたが、採集した単斜輝石岩の紹介に、移りたいと思います。
河原に緑色の岩石があり、チャートではなかったため、ハンマーで割った所、単斜輝石岩でした。
緑色が美しく、なかなか良い標本です。
上、2枚の写真は、同一の標本を撮影したものです。
単斜輝石岩に、白色の鉱物が貫入しています。
石英か何かだと思いますが、良く分かりません。
近いうちに、鑑定に出したいと思います。
以上が、採集した標本の紹介でした。
本当は、紫色のローソン石や、柘榴石花崗岩、藍閃石片岩を探していましたが、露頭が分からずじまいでした。
参考文献には、露頭の場所が書かれており、私が登った場所よりも、もっと奥の山道みたいでした。
文献には、緯度経度が記載されているため、Googleマップで検索すれば、すぐに出てきました。
ただ、道には融雪剤が置いてあり、もう12月に登るのは難しいと判断しました。
ローソン石や柘榴石花崗岩の採集は、来年の宿題になりました。
私が採集できたのは、あくまでラッキーで、採集した場所には、これといった鉱物はありません。
融雪剤があるということは、これから雪が降るということです。
もし、文献の通りに行く場合は、気をつけて行ってきてください。
当ブログは、一切の事故や遭難に、関知しません。
自己責任で、登ってください。
ただ、久しぶりにいっぱい歩いたので、足が疲れて、夜は家の近所の銭湯に行ってきました。
今年は、行きたい鉱山に、行きたいだけ行ったので、満足しています。
また、来年の春から、鉱物採集に動き出します。
来年の春に、私の執筆した鉱物学の論文が、専門誌に掲載されます。
また、来年も論文を執筆するため、また忙しくなりそうです。
では、この辺で。
参考文献
東京都産古生代前期造山帯の断片:関東山地東部,黒瀬川帯高圧型変斑れい岩および花崗岩類のジルコン U–Pb 年代
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/126/10/126_2020.0026/_pdf